皆さんは、トレーニング後なかなか筋肉痛が治らなかったり、反対にトレーニングしても筋肉痛がこなくて不安になった経験はないでしょうか?
「体が老化していると2日後に筋肉痛がくる」とよく言ったりしますが、実はこれは何の根拠もないことなんだとか。
今回は、筋トレやダイエットを効率よく行うための“超回復”について詳しく解説していきます。
目次
筋肉痛の原因
筋肉痛が起こる原因には、主に2つあると考えられています。
①筋繊維の損傷
普段使っていない筋肉をいきなり使ったり、反対に筋肉を酷使してしまうと、筋繊維が傷つくと言われています。
すると、傷ついた筋線維の周りに周囲に白血球やリンパ球などが集まり、損傷した細胞を修復する炎症反応が起こります。
それが神経を刺激して痛みとなって現れるのです。
②水分不足
運動すると、体内の水分が奪われるため、血行が悪くなり、体内組織が酸素不足に陥ります。
さらには、周囲の細胞から疲労物質や老廃物が蓄積し、筋肉の収縮・弛緩が部分的にうまくいかなくなり、他の筋肉に引っ張られて違和感や痛みを生じさせると言われています。
筋肉痛の種類
久しぶりに運動をした場合や、いつも以上にハードなトレーニングを行った場合、多くの人は筋肉痛が生じますが、この筋肉痛には大きく分けて2つあるのをご存じでしょうか?
それぞれの特徴を見てみましょう。
即発性筋肉痛
即発性筋肉痛とは、読んで字の如く、運動の後にすぐ表れる筋肉痛のことです。
トレーニングなどを行うと、筋肉内に疲労物質の乳酸や水素イオンが発生・蓄積され、それによって体が酸性に傾くことで起きると言われています。
体が酸性に傾くと、痛みや倦怠感は発生しますが、血行不調による肩こりなどの痛みやだるさも、即発性筋肉痛に該当します。
痛みが長く続かないのが特徴で、マッサージやストレッチを行うことで筋肉内に蓄積された疲労物質が排出されることで、消えていきます。
遅発性筋肉痛
運動後1〜2日後に起こる筋肉痛を、遅発性筋肉痛と言います。
筋肉運動によって筋繊維が傷つき、炎症が行って痛みを感じるようになります。
「筋肉痛」と聞いて皆さんがイメージするのは、この遅発性筋肉痛です。
この遅発性筋肉痛は、伸張性収縮(エキセントリック動作)をした際に起こりやすいと言われています。
エキセントリック収縮とは、筋肉が引っ張られながら力を発揮している動作のことで、スクワットで膝を曲げながらしゃがむ動作や、腕立て伏せで上体が床に近づいていく時の動作、ウエイトを下ろす動作などが挙げられます。
筋トレをする際は「下ろす動作を丁寧に行いなさい」と指導されることが多いのは、エキセントリック収縮によって筋線維のダメージが受けやすいため。
運動後すぐに痛みが消える即発性筋肉痛と比べて、遅発性筋肉痛は2日~4日で治ると言われています。
筋肉痛の時に筋トレしてもいい?
早く筋肉を付けたいと思っている人や、早くダイエット効果を上げたいと思っている人は、トレーニングを毎日行わなければ!
という思いから、毎日ハードな筋トレやトレーニングを自分に課しているケースが多いです。
しかしながら、筋肉はトレーニングによって筋繊維が破壊され、休息をとることによって回復し、同時に太い筋線維と成長していきます。
そのため、「筋肉痛の時に筋トレをしてもいいか」という質問の答えはNO。
休息をとらずにトレーニングを続けてしまうと、筋繊維が回復しないままダメージを受け続けるため、かえって筋肉が細くなってしまいます。
トレーニングをした2日~3日は栄養をしっかり取りながら十分な休息をとることが、実は筋肉を強化する最大の近道なのです。
でも、中には「いてもたってもいられない!とにかく体を動かしたい!」という人もいると思います。
そのような人には、筋トレといった「無酸素運動」ではなく、「有酸素運動」がおすすめです。
有酸素運動は、比較的弱い力を筋肉に継続的にかける運動のことで、体に貯蔵されている体脂肪を燃料とするため、長時間無理なく続けられるのが特徴。
代表的な運動は、水泳・ウォーキング、サイクリング・エアロビクスなどが挙げられます。
筋肉痛の回復と超回復の目安
では、筋肉痛の回復時間の目安についてみていきましょう。
超回復とは?
筋肉は、トレーニングによって筋繊維がダメージを受け、休養中に修復されます。
その修復で、トレーニング前よりも少し強化されることを、「超回復」と言います。
この超回復を繰り返すことによって、筋繊維は少しずつ強く太くなっていくのです。
筋肉痛の回復
これまでみてきたように、筋肉を強化するためには、適度な休息と継続したトレーニングが不可欠。
そこで注意したいのが、休息の取り方です。
個人差もありますが、超回復にはおよそ48時間~72時間が必要とされています。
これは、筋肉痛がおさまる時間とほぼ一致すると言われています。
筋肉は、超回復した後徐々に筋力は落ち、サイズダウンしていくと言われているため、休息を取りすぎるのもNG。
効率よく筋力アップしたい場合は、超回復がピークに達した時=筋肉痛がおさまった時に、トレーニングを再開するのがベストです。
また、筋肉には回復時間が異なります。
基本的に、大きい筋肉ほど回復に要する時間が必要で、小さい筋肉ほど回復は早いと言われています。
筋肉部位別回復時間目安表
回復時間 | 筋肉部位 |
96時間(4日間) | 脊柱起立筋、大腿 |
72時間(3日間) | 大胸筋、広背筋 |
48時間(2日間) | 三角筋、僧帽筋、上腕三頭筋、上腕二頭筋 |
24時間(1日間) | 前腕、腹筋、カーフ |
参照:http://homegym-training.com/training/training1_06.html
これの表はあくまで目安ですが、筋肉の大きさによって、こんなにも回復に要する時間が異なるのです。
回復時間が異なるということは、休息をとる時間も変わってくるため、注意が必要です。
治らない筋肉痛を早く治すには?
基本的に筋肉痛は48時間~72時間程度で治ると言われていますが、人によっては治りが悪い場合もあります。
そんな時には、下のような方法を試してみるとよいかもしれません。
①プロテインを飲む
トレーニングでうけた筋肉のダメージは、たんぱく質を使って修復していきます。筋肉痛をより早く治したい場合は、体内にすばやく吸収されるホエイプロテインを飲むのがおすすめ。
飲むタイミングは、トレーニング直後から30分以内。飲む際は20g~30gを目安に飲んでください。
また、これと同時に糖分を含んだスポーツドリンクを一緒に飲むことで、即効性のある炭水化物を一緒に摂ることができると同時に、筋肉を動かすために必要なグリコーゲンの補充し、エネルギーを回復させることができます。
②カリウムを多く含む食材を食べる
カリウムは、筋トレの際の筋収縮を引き起こすためには欠かせないミネラル。
そのため、筋トレで筋収縮を繰り返すと、体内のカリウムは徐々に失われてしまいます。
また、カリウムは筋肉のエネルギー代謝にも使われるので、筋トレ後、失われたカリウムを素早く補給することで、筋肉疲労を早く解消することができます。
③ストレッチをする
筋肉の疲労を早く回復させるためには、ストレッチを取り入れるが有効です。
筋トレ前には、簡単な準備運動やウォームアップ運動=ダイナミックストレッチを行うことで、筋肉と関節の可動域が広がり、筋肉へのダメージを軽減することができます。
そして、筋トレ後には、一般的なストレッチ=スタティックスストレッチで筋肉の緊張をほぐせば、筋肉の回復を効率よく行うことができます。
④質のよい睡眠を摂る
睡眠中に分泌される成長ホルモンも、筋肉の成長を促すと言われています。
成長ホルモンは22時~2時ごろに分泌のピークを迎えると言われているので、この時間帯に就寝しているのがベスト。
またトレーニングした日は、いつもの睡眠時間に2時間プラスした方がよいと言われています。
⑤アクティブレストを取り入れる
アクティブブレストの直訳は、「積極的休養」。
つまり、横になるなど完全に休むのではなく、敢えてサイクリングやヨガなどの軽い運動をすることによって、筋肉の回復を促すことができるというものです。
ここでは、筋トレなどの無酸素運動ではなく、有酸素運動を行うことが大切。アクティブブレストを取り入れることによって、筋肉痛の回復を早めると同時に、心理的にもリフレッシュすることができます。
⑥ストレスを溜め込まない
ストレスを溜めすぎると、血行の停滞や自律神経の乱れなどによって、筋肉の回復に長い時間が必要となってしまいます。
またストレスを溜めていると、トレーニング中のケガにつながる可能性もあるため、注意が必要です。
筋肉痛がないのは筋トレが足りないから?
筋肉痛が起こらなくなった場合、「筋トレが足りないのだろうか?」と思ってしまうと思いますが、決してそういうわけではありません。
一定期間、同じような筋トレやトレーニングを続けていると、筋肉痛は起こらなくなります。
これは、トレーニングの際の動作に筋肉が慣れ、筋繊維を傷つけることなく動かせるようになったということを示します。
そのため、同じとレーニングをして筋肉痛がおこらなくなったら、体にかける負荷を大きくしたり、行う動作のスピードを速くするなどしてみるとよいでしょう。
筋肉痛はあった方がよいの?
トレーニングに体が慣れてくると、その動きに筋肉が慣れるため、筋肉痛を感じなくなると先ほど説明しました。
筋肉痛があるからこそ、しっかりと休養を設けることで筋肉が修復され強化されるため、少しトレーニングに慣れてくると、再び筋肉痛があらわれるようにトレーニング内容を強化する場合が多いです。
しかしながら、筋肉痛の有無に着目しすぎて、過度な負荷を体にかけてしまうと、思わぬケガをしたり、どこかを痛めてしまう可能性もあるため、極端なトレーニングは避けた方がよいでしょう。
まとめ
今回は筋肉痛や超回復について見てきましたが、いかがでしたか?
筋トレは毎日でもやった方がいい!と、逆効果のトレーニングを行ってしまっていた人も少なくないのではないでしょうか?
筋肉の超回復やそれにかかる時間をしっかり理解して、効率よく体を鍛えたいものですね。
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